2010年09月17日

ロスト・シンボル

THE LOST SYMBOL
Dan Brown 2009

2010年3月に日本語版が出版されました。待望のラングトンシリーズ上下巻です。

今回はワシントンDCを舞台とする親子関係のもつれが引き起こした悲劇に暗号解読をからめたミステリーです。せっかくのミステリーなので内容には詳しく触れませんが、最後の謎解き部分で印象に残った記述を少しだけ紹介します。

これから本書を読むつもりの方はご遠慮ください。

本書でミステリーの鍵となるある書物のことが語られる場面があります。

そこで本書の登場人物が歴史に名を残す実在した人々がある書物に隠喩として記された科学的知識や、その書が伝えようとした本来の意味を探り当てていた事実を述べます。

そして、その書物は改竄につぐ改竄や捏造された物語が書き加えられていることが歴史上の事実として説明されています。

作者はアメリカ人なので、どうしても西洋思想中心で物語が進められるので、もう少しほかの思想についても具体的に書いてくれれば、と物足りなさを感じます。

作者が本書で解き明かした謎については、中東や東洋でも古来から聖人によって言い伝えられてきたことだと登場人物の口を借りて語っています。

それは、ムハンマドや仏陀などです。


そう言われて考えてみれば、確かに仏教の経典には隠喩としてではなくそのものずばりが書かれています。

たとえば法華経如来壽量品には、速成就仏身つまり人間すなわち仏であることが説かれています。また、仏陀の涅槃が実は方便であり、久遠の昔から常にこの世で説法を続けてきたことが明かされているのです。

ある時、チベット密教で用いられる曼荼羅をじっくり眺めていて、これは人間の脳の働きを図示したものではないかと直観したのですが、それと似たようなことが本書でも指摘されています。

そういえば、昔仏教に詳しい人から第九識とか阿頼耶識という言葉を教えてもらったことがあります。

私たち人間は脳の数パーセントしか使っておらず、その潜在能力はまだ明らかになっていないのです。

仏教では聖人によってその力を「むやみに用いてはならず」と戒められています。本書でも人間の内なる力が悪用されては危険だと作者は登場人物の口を借りて警告しています。

ヨーロッパに古くから伝わる戯れ歌に「だんだん馬鹿になっていく」というのがあるけれど、まさに古の人々が見抜いていた知識を時間が経つに連れてだんだん忘れてしまったのが現代人なのでしょう。

本書を単なるフィクションとして読むことも可能でしょう。何を事実として受け入れるか、それは人それぞれかもしれません。

私の感想としては、主人公が物語の最後に胸に抱いた気持ちを全ての人と分かち合える日が近いと確信しています。
posted by PFC at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | | 更新情報をチェックする
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