2004年12月22日

福祉 NHK教育

ゲストは東大大学院教授の上野千鶴子さんでした。日本を代表するフェミニストが福祉番組に出演?どんな話をなさるのかと期待して見た人は「な〜んだ本の宣伝か・・」と思われたのではないでしょうか?

私も学生時代に書いたレポートを思い出しつつ、期待して見ていたのだけど、30分の番組のなかでは言い尽くせないことが多かったのだろうと思った。特に「女性学と福祉」については、もっと他に言うべきことがあるでしょうと言いたくなったりした(怒)。

一番ひどいと思うのは、福祉にジェンダー概念が持ち込まれていく過程で「戦争被害者」としての独身高齢女性の存在に光が当てられなくなったことに一言も触れられなかった点だ。その問題のいくつかは、上野さんも会員になっている「高齢社会をよくする会」に引き継がれているとはいえ、「戦争被害者」は日本女性の「加害者性」におされ気味だ。

第二次世界大戦で亡くなった兵隊さんの恋人であり、妻であった女性たちの多くは、戦後ろくな保障もないまま、貧困生活を余儀なくされ、すでに鬼籍に入ってしまっている。現代を生きる私たちが彼女たちと同じ道を歩むことになるかも知れない世界情勢の今だからこそ、このことに触れて欲しかったのに残念だった。

それにしても、上野さんも50代半ばになり、自らの老後を考えるお年頃になったのでしょう。私には80年代のアイドルだったんですけどね(ちなみに男性アイドルは渋谷陽一さん)。しみじみ感慨深いものがあります(^_^;)

ところで、私はこの番組でもう少し掘り下げて欲しかったのは、生活者協同組合で上野さんが行ったワーカーズコレクティブに関する調査のことだ。


いわゆるワーカーズコレクティブといわれる働き方で、これが福祉分野にも参入しているのだ。詳細は「論争−アンペイドワークをめぐって」に譲るとして、興味深いのは数年かけて調査を行った上野さんをして「わかりにくい組織」といわしめた生協とグリーンコープの違いだ。

実は私も地元にはないワーカーズコレクティブに興味があって、調べかけたことがある。いろいろな所で話を聞いてわかったことは、労働組合?が母体になっているらしいことと、なぜ地元にはないのかということについては「関東にある事務所に直接聞いてください」という返事だった。ワーカーズのような働き方は理想的だと思うけれど、それが地方では広まらない理由とは何だろう?

話がそれてしまったので、番組の内容について少し。福祉改革の流れのなかで、福祉が「措置」から「利用者主体のサービス」へと転換し、「して頂く」から「自分で選んで利用する」サービスへ変わった。その転換がフェミニズムのスローガンである「個人的なことは政治的なこと」と重なるのだそうだ。障害がある人も手助けは必要だけど「私のことは私が決める」と言えるのだと上野さんは言っていた。

大雑把に言うと、それが「当事者主権」なのだそうだ。当事者主権については、自治研究者がすでに何年も前から言い始めているので新しい概念とはいえないけれど、思い切った言葉として耳に響く。当然のことなのに、改めて言い直さないといけないほど主権がないがしろにされてきたということでしょうか。特に女性の権利は・・・。

東京の方はシンポジウムや講演会で飽きるほど上野さんの話を聞くチャンスがあるでしょう。でも地方在住では“ナマ上野”にお目文字する機会はほとんどありません。私の町に上野さんが来たのはもう数年前のこと。自治体主催のその講演会で上野さんは「ここが反動議会で有名な・・・」とおっしゃった(そうなんです。保守的な町なのです(-_-メ)。

ご本人はご自身の言動に対して「石つぶてが飛んでくる」とおっしゃっていたけれど、向かうところ敵ナシといったところだろうか。50歳半ばにして独身(パートナーはいらっしゃるそう)、子無しであっても、彼女を負け犬と呼ぶ人はいないのでしょう。きっと。
posted by PFC at 21:12| Comment(0) | TrackBack(0) | TV番組 | 更新情報をチェックする
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