本書は私たちの身近な環境の中にある化学物質(環境ホルモン)が内分泌を撹乱し生殖や成長に異常をもたらすことを指摘しています。
それらの異常は長い時間をかけて人間の体の中で起きるので、研究を続けても結果が出るのに時間がかかります。そのため政府や産業界は資金援助を躊躇し、さらに研究が遅れるのです。
出版当初世界各地で大反響があり、それから13年経ちました。その間に戦争が始まり、目に見える形で多くの人の未来が奪われました。
本書は様々な国で教科書として採用されているそうですが、日本で今10代、20代の人は本書や本書に書かれていることを知っているでしょうか?
2000年に行われた共同著者の一人であるコルボーン博士(女性)へのインタビューが読めるサイトです。
コルボーン博士(女性)は50歳を過ぎてから大学院に入り、58歳で動物学博士となりました。
本書には博士が執筆を担当したページに院生時代の研究生活のことが書かれており、興味深く読みました。
その記述のなかに、研究中は化学物質が引き起こす病気、たとえば癌との因果関係に気をとられていて生物の生殖機能に異常が見られることと化学物質との関連に気づかなかった・・というようなことが書いてありました。
結果が目の前にあるのに、その原因に気づかないことは誰しも経験することかも知れません。
本来関連のないことを強引に結びつけて考え、妄想に近い推論を積み上げた挙句、間違った結論を出してしまうこともありがちです。
博士はインタビューで「自分達が何をしているか、わかっていない。今のことしか考えていないのです。」と私たちが生きる姿勢を戒めています。
このインタビューの後で戦争が始まり、その戦争ではエネルギー資源の奪い合いや生物兵器が使われた可能性が指摘されています。
地球の未来を考え、誰かが未来に生き残るための戦争のようで、実は自分達が何をしているかわかっていないのでは・・・。
一人ひとりが個人の瑣末な感情を優先するという選択をした結果、地球の未来にかかわる大問題に発展するということもありうるかも知れません。
本書は現在私たちの周りで起きていることをそんな視点で見直すことに気づかせてくれます。
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しかしその後、ぴたっと報道が止まりました。「環境ホルモン」という言葉も聞かなくなりました。ホントに大変だという現象だけは残っているのに、「その後」を追い続けるメディアがないという事に疑問を感じます。
「環境ホルモン」もその一つですね。知りたい情報を提供してくれるメディアがないとき、インターネットは劇的効力があると思います。
リスクはあっても情報を追い、発信し続けたいですね。